素の自分を「パンツ一丁」と表現します。
そして、公の場にいる自分の事は「服を着ている」と表現します。
さらにその公の場所によって、
もちろん着ていく服も変わってきます。
「スーツ」で固めていく場合もありますし、
「よそ行き」の「おとなし目」の場合もありますし、
「よそ行き」の「華やか目」の場合もあります。
この「着ていく服」というのは、つまり心の状態の例えです。
言いかえれば、
いや、
もしかしたら言いかえてはいないかもしれませんが、
それは
「スタイル」
といって良いのかもしれません。
久しぶりに実家に帰った時に、
いくら家の中とは言え、
あまりにもパンツ一丁な姉(※比喩です)にイラつき、
「親しき仲にも礼儀ありやろ!」
とイライラしてしまいました。
では各劇団はどんな服装(※比喩)をしているのか?
ユニット美人では、
決して「よそ行き」の服は着させないそうです。
ジャージでもありません。
部屋で、
誰にもみせてへん、
みせられへんけど、一番落ち着くその、
ほんまのテロテロの部屋着を着てもらうそうです。
「そいつを見せなよ、ケーーーケッケッケ」
と、タンスを荒らすか、
もしくは「ブルマを貸す」というのが
ユニット美人スタイルです。
劇団衛星は、
人民服を着るスタイルです。
「サイズなどは関係がない、合ってるとか合ってないとかは関係がない、この人民服を着るんだ、手段は問わぬ、話はそれからだ」
という感じです。
「いや、ぼくSじゃなくてMなんですよ。サイズ合ってる服の方が着やすくないですか?」
という人は劇団衛星にはきっと合わないでしょう。
劇団員というのは演出家から
「お前のそのGパンにTシャツのスタイル飽きたから、新しいファッション見せてくれ」
と言われることがあります。
「今回はチノパンに水玉シャツを着てくれ」
と要求もされます。
そしてしばしば俳優はその時無意識的にも、
「いや、俺はGパンにTシャツが一番似合うって知ってるから」
と心の中で主張してしまうのです。
そして稽古場でチノパンに水玉シャツに挑戦しても、
「似合わんな」
と言われて、
結局本番はGパンにTシャツで出ている事になっているのです。
ところが客演に出ると、
「やっぱり○○さん、GパンにTシャツ似合いますね」
と褒められたりします。
そうすると、なおさら頑なになってしまいますかもしれません。
さらにその客演先でその俳優のお芝居を演出家が観ると、
「ああ、こいつまたGパンにTシャツ着てるやん、一緒やん」
などと思ったりする事もあるでしょう。
さらに、
「GパンにTシャツ似合うって教えたったん俺やしな。
ていうかそのGパン俺がプレゼントしたやつやしな」
などと思ったりするかもしれません。
結局俳優は、
どんな服も着こなしていかなければならないということです。
いえ、服よりもスタイルが良くなければどんな服も似合わないのです。
しずかとユキ「Equal-イコール-」はそういう意味で言えば、
どんなスタイルになるんでしょうか?
ううむ。
散々悩みましたが
わかりません。
すみません。
お詫びにここから比喩の形ではなく、
ストレートに衣装の話をします。
戯曲を読んだ時に真っ先に思い浮かんだビジュアルイメージはこちらです。
ウッドストックのナイン・インチ・ネイルズです。
高校生の時に初めて見てからずっと心に残っていた映像なのです。